ほぼ1年間、狭いキャリーケースの中だけで生活していた「ちょこ吉」。
ボサボサの毛、見るからに汚い小さな小さな黒い犬。
しっぽの長い、たぶんトイプードル。
市場で売れ残ったらしい。
ほぼ1年間、狭いゲージの中をくるくる回り続けていた
脳に障害があるという「みゅう」。
ガリガリで骨と皮だけの茶色のダックス。
ペットショップで売れ残ったらしい。
8年前、とある保護犬活動をしているNPO団体で
「ちょこ吉」と「みゅう」に出逢いました。
「あと3日でいなくなるよ。保健所行き。殺処分。値段は相談にのるよ。」って。
そこには、見るからに哀しくて、みじめで、弱々しい犬たちがたくさんいました。
犬たちが吠えると、木刀をもった男性が
犬たちのゲージをたたき、「黙れ‼」と叫ぶ。
「うるさくても大丈夫ですよ。ゲージ叩かないでください」
「犬たち怖がってしまいますよ。」と言っても聞かない。
とんでもない所に来てしまったと思いました。
怒りと悲しみと勢いに任せ、よくわからないまま
私は16万払って2頭を連れ帰りました。
外に出たことのない「ちょこ吉」。
散歩をしようとしても、一歩も動かない。
数日たって、少し歩くことに慣れてきたと思ったらすぐに骨折しました。
脳障害のせいか、まっすぐ歩けない「みゅう」。
怯えて人前ではご飯も食べない。
特に男性の前では常に震えるほど怖がりました。
さらにずさんな管理の中で育った2頭は
疥癬(かいせん:ヒゼンダニによる感染症)にかかっていました。
犬を飼って何十年になりますが、こんなことは初めてでした。
いったいこの2頭に何があったのだろう?
どれだけ怖い思いをしたのだろう?
ペット業界やペットを取り巻く社会環境について深く考えるようになったのは
「ちょこみゅう」(ロアジス社内での2頭合わせての呼び名です)に出会ったその日からです。
次回に続く…